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血圧測定で病気を防ぐ!オムロン ヘルスケアが全社で目指す「ゼロイベント」とは

2018/11/26

株式会社シーピーユー
健康プラス編集部 健康プラス編集部

健康経営という言葉が注目を集める前から従業員の健康促進に取り組むオムロン ヘルスケア株式会で健康経営推進を担当されている大家 明子氏に取材を敢行。人事担当者だけでなく広報や事業部の方々が知恵を出し合い、健康経営を推進する同社の重要プロジェクト「ゼロイベント」に迫ります。

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オムロン ヘルスケアが目指す『ゼロイベント』とは

皆さんご存じの通り、オムロン ヘルスケア社は、各種健康機器の開発・販売を手がけられています。同社の幅広い商品の中でも、血圧計がその約半数を占めており、血圧測定イベントなどの施策も積極的に展開されています。その中心にあるのが「ゼロイベント」という取り組みです。


「ゼロイベント」とは、誰もが、自分らしく、充実した毎日を送れるために、脳・心血管疾患の発症リスクを予測し、未然に防ぐという世界共通の社会的課題解決を目指すものです。



上記ゼロイベントの特設サイトによると、「平均寿命」が男女ともに80歳台を超え、世界一の長寿国と呼ばれる日本ですが、寿命と健康寿命の間には10年近い隔たりがあることが大きな社会課題の一つとなっています。(※健康寿命:健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)

当然、この10年という隔たりは、ご本人だけでなく介護をするご家族にも大きな負担が強いられます。


また、日本人の死因として1位は「がん」 2位は「心疾患」(心筋梗塞や狭心症など)、3位は「脳血管疾患」(脳梗塞や脳出血など)と並びますが、このうち心疾患や脳血管疾患の主たる原因として挙げられるのが「高血圧」です。

日本では高血圧人口は実に3人に1人とも言われ、上記の病気やリスクと向き合う生活を送っている方が多くいます。これは海外でも同様の傾向が見られるそうです。


オムロン ヘルスケアは、「地球上の一人ひとりの健康ですこやかな生活への貢献」をミッションに掲げており、血圧測定の頻度を高めて、危険な血圧変動をとらえ、疾病リスクを予測し、発症を防ぐことを目指して「ゼロイベント」を広く展開しているのです。


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“健康診断をもっと身近にしたい”

「血圧は病院で測るもの」という考えが常識だった1970年代から、自宅でも簡単かつ正確に血圧を測定できる製品を次々に発売し、「家庭で血圧を測る」という新たな文化を根付かせてきたオムロン ヘルスケア社。



最近では、2016年から「OMRON connect」という名前のスマホアプリを提供しています。同社が展開している各種血圧計や体重体組成計、活動量計と連携させることで日々の健康データをアプリ内で管理でき、グラフなどの形で体の変化に気がつけるというものです。面倒な記録作業も不要になるため、無理なく続けられそうです。



https://www.omronconnect.com/jp/ja_def/


これらの商品やアプリも、「血圧測定の頻度を高めて、危険な血圧変動をとらえ、疾病リスクを予測し、発症を防ぐ」ことを目指すゼロイベントと根底でつながっているのです。


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まずは従業員こそが率先して健康に

そのゼロイベントの一環として2017年に自社内でスタートしたのが「オムロン ゼロイベントチャレンジ」という施策です。社員自らが毎日家庭で血圧を測定し、その結果に応じて通院や服薬、高血圧の予防・改善のための生活習慣の見直しを継続的に行い、2020年までに全社員が適正な血圧値達成を目指すものです。


「スポーツジムのトレーナーが肥満体型ではお客様はつかない。美容師さんの髪が延びっぱなしで汚かったらお客様は行かない。これと同じように、まずは自らが率先して血圧を家庭で計測し、継続的に取り組むことが自社として非常に大切」と話すのは、オムロン ヘルスケア社で健康経営推進を担当されている大家 明子 氏。


もともと健康意識の高い会社ではありますが、その中でも徹底的に血圧計測に取り組まれているのは、健康経営実施企業の中でも群を抜いている印象です。


大家氏はこう続けました。

「この取り組みを通して、オムロン ヘルスケアで働く従業員の方が健康寿命を1年でも長くし、幸せな人生を送れるようになって欲しい」

この言葉には、愛と情熱を強く感じます。



オムロン ヘルスケアが進めるゼロイベントチャレンジ


■目標

家庭血圧の適正値化(収縮期血圧135、拡張期血圧85mmHg未満)の達成


■対象者

オムロン ヘルスケア国内グループの全社員


■実施期間

2017年6月~2020年3月


■実施内容

① 毎日の朝晩の血圧測定を習慣化する

② 自分の血圧の状態とリスクを知る

③ 家庭血圧と定期健康診断での血圧測定結果から、社員を「正常」「低リスク」「中リスク」「高リスク」に分類

④ ③でリスク分類をしたグループ毎に、生活習慣改善や、医療機関の受診推奨などの働きかけを行う

⑤ 上記①~④の継続による、全社員の収縮時血圧135mmHg、拡張時血圧85mmHg未満の実現



本チャレンジは始まったばかりですが、早速、結果分析から下記のことが分かったそうです。



家庭血圧の基準値を超えた59人(13%)のうち41人(9%)は、健康診断では正常の血圧値だったものの、家庭血圧の結果が基準値を超えており、「仮面高血圧の疑い」がある。


※仮面血圧とは

健康診断で、診察時血圧の基準である収縮期血圧:140mmHg/拡張期血圧:90mmHg未満である一方、家庭で測定した血圧が収縮期血圧:135mmHg/拡張期血圧:85mmHg以上の人



また30代、40代、50代と、年代が上がるにつれて高血圧の割合は増加傾向を見せますが、30〜40代なら安心というわけでもないようです。実際、30代でも8人(20%)に仮面高血圧の疑いがあり、若年層でも注意を怠らないようにする必要があることが判明したということです。


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従業員の積極的な参加が健康経営成功のカギ

健康経営を推進したいと考える企業が抱えがちな悩みの一つが「従業員の関心度合い/無関心層へのアプローチ」ですが、このオムロン ゼロイベントチャレンジに関しては、2017年6月のスタート時点で全社員の約98%にあたる656人が趣旨に賛同し、参加を表明したそうです(個人情報の取得もあるため、参加者には同意書を書いてもらっているようです)。


大家氏の元には、チャレンジに参加されている方から次のようなコメントが届いています。


「家で計測をすることが、自分の健康に非常に役に立つことが分かった」


「自分は、野球の応援をしているときに一番血圧が高かった。どんなときに血圧が上がるのかを知るだけでも、自分自身の身体に興味を持つキッカケとなった」


「継続することの重要性が分かり、朝晩だけの測定だけではなく、1日気が付いたときに積極的に血圧測定をしている」


従業員の皆さんがご自身の健康に興味を持ち、楽しんで取り組まれていることが伝わってくるエピソードです。健康経営の実現において、『従業員が楽しみながら、自分自身に興味を持って取り組む』ことが非常に重要なポイントであることが分かります。


なお本チャレンジは、商品開発の面からも、従業員の皆さんがいちユーザーとして意見を出すことで商品改良につながるため、メイン事業においても非常に重要な意味を持っているそうです。


そして、血圧を測るだけでなく、高血圧対策も今年から始まったそうです。社員食堂での減塩メニュー(ゼロイベントランチ)の導入を皮切りに、これからさらに様々な生活習慣の改善施策を企画実施していくとのことです。


血圧にこだわり、血圧という側面から健康経営を実施しているオムロン ヘルスケアさんの活動には今後も注目をしていきたいと思います。

オムロン ヘルスケアさん、取材の機会をいただきありがとうございました!


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